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何千社もの企業を調査し、点数を付けるという仕事をしてきた高田さん。高田さんの選ぶ「信頼できる会社」とは?そして、「信頼できる社会人」とは?白熱したインタビューになりました。

まずは自己紹介をお願いします。

私は大学を卒業して、材木を扱う会社に就職しました。僕は就職活動はあまり真面目でなくて、まあ人と関わる仕事がしたいから、営業かな……と、いろいろ見てまわっていました。流通業を中心に受けていたんですが、自分のやりたいことをやらせてくれる中小企業が合っているなと思い、そこに決めたんです。

入社して、材木会社ですからまずは材木の配達からということで、30~40kgくらいある重い材木やパネルを肩にかついで、朝早くから日付が変わるくらいまで働くというかなり過酷な環境ではありましたが、かれこれ7年くらい働きましたね。そこで会社の経営に必要な知識はある程度得られました。さらにもっと、地域や会社、周りの人々に喜んでもらいたいと考えたときに、この会社で出来ることをやり尽くした感があって。
これ以上は出来ないと思って転職したんです。今の会社では、それができると感じています。

 

今、「会社に何が出来るか」とおっしゃいましたが、それってすごいですよね。私は今就職活動をしているんですが、「自分が入社して会社にどう貢献できるか」よりも「自分が会社に入って何をしたいか」と考えてしまうんです。最初の会社に入社した当時からそんな気持ちを持っていましたか?

いえ、そんなことはありません。「自分が何をしたいか、経験したいか」を考えていたと思います。
けれど今の会社では、「自分が会社にどのような利益をもたらせるか」と常に考えています。
いつ変わったかと言われると明確には分からないけれど、30歳くらいじゃないかな。自分に何が出来るかを考えるようになった。だから、芸能人ってすごいなと思うよね。若い子でも、自分がどう見られているかを常に考えている。

 

面接で、「あなたがウチに入ったら何をしてくれますか」と聞かれるんです。けれど、「私がしたいこと」はあっても、実際にそれは会社に貢献できるのかと聞かれても上手く答えられなくて……。

たぶんその質問をする人は、「貢献できるもの」を求めてはいないと思いますよ。
学生はその時点では、社会人的スキルも何もないのが当然ですから。いつか貢献できるようになりたい、そのために吸収していきたいという「吸収力」を見ているんじゃないかな。

(吉岡)これは(面接における)核心ですよね。

 

現在の会社ではどんなお仕事をされていますか?

帝国データバンクは、企業の信用調査をする会社です。
信用調査って何か分かりますか?企業間の取引というのはほとんどが現金ではなく売掛、つまり先に商品を渡して後からお金を回収する仕組みですから、取引先がお金を支払ってくれないというリスクがあるわけです。初めての取引先だった場合、相手はお金を払ってくれるだろうか、財務状況は大丈夫なのかを私たちが代わりに調べるという仕事ですね。

以前の材木会社でも、取引先が倒産してしまったり、開き直って「お金がないから払えない」と言われてしまったりと、代金が払われないことが多々あって。私がせっかく重い材木をかついで運んでも、タダ働きになってしまうんですよね。だから当時は自分でも相手の企業を調べるようにしていたので、もともと興味があったんです。

ですが入社して最初に配属されたのは、調査員ではなく経理でした。
それもいい経験だなと思って勤めていましたが、結局5年くらい経理をして、営業に異動しました。
経理は……今振り返っても僕には合わなかったですね(笑)。

現在は千葉支店の営業部長として、マネージャー職をしています。

 

経理に配属されたときに、不本意な業務でも留まっていられた理由は何でしょうか?

自分のやっていない分野だったので、良い機会として勉強しようと。
まあそれでも、5年は長かったですよね(笑)。異動願は出していましたけれど、長かったなあ。

 

異動願って、出すと角が立つというか、生意気な奴だと思われないんでしょうか?

うーん、思われることもありますね。だからこそ、根回しとタイミングが大事。
「根回し」って言うとずいぶん社会人っぽい言葉だけれど、あらかじめキーとなる人には、自分の主張を相談しておくことは大切ですよね。やっぱり希望は口に出さないと誰にも分からないし、叶わないですから。

 

自分が会社を判断して、良い、悪いと決めることにプレッシャーはありませんか?「悪い」と決めてしまったら、その会社は取引してくれるところが無くなって潰れてしまうかもしれないですよね?

確かにそうですね。私たちのデータはいろいろな企業が頼りにしていて、信頼をいただいています。
「あの企業の点数が高いから取引したのに、潰れちゃったよ」となっては困るので、常に緊張していますよ。
いわゆる合格点と不合格の境目で悩むこともありますけれど、責任をもって点数を付けています。

 

「不合格」をつけて、恨まれたことはないんですか?

面白い質問ですね(笑)。基本的には、調査先の企業に伝わることはないんです。けれど、もしクレームを付けられたとしても、自信をもって説明します。

 

会社の信頼度を図る際に「人」も見ると伺いましたが、信用できる人とはどのような人でしょうか。3点挙げていただけますか?

3点!(笑)
数を限定するというのは大変良いことですよね。でも、すぐに思いつくかな(笑)。
まずは「約束を守る人」でしょうね。お金を払うことも、時間を守ることもそうです。
それから、「表裏がない」。人と会ったら挨拶をするとか、街で唾を吐かないとか。普段の基本的な行動に性格が出ると思います。悪いことをしない、ルールを守るということ。
あとは……「前向きな人」ですね。いつも文句ばかり言っているのではなく、プラス志向の人。ポジティブでないと、信用してついていく気持ちにならないですからね。

(吉岡)対応が迅速な人、っていうのはどうです?

確かにそれもありますね。約束を守るということに通じるかもしれません。相手の想像を超えられる人は信頼できる。

(吉岡)対応に困っても、とりあえず「対応に困っています」という返事ができる人はいいですよね。

こちらが100点を求めたときに、やるかやらないか分からない、0点か100点かの人間に期待するよりは、コツコツやって70点の人のほうがまだ良い。上司は残りの30点を埋める方策を立てられるからね。社会人では見える結果がすべてだから、そういう意味でも「表裏がない」、見えやすく分かりやすい人間のほうが信頼できるということでしょうね。

 

営業や経理の経験で、身に着いたスキルってありますか?

 

営業では、人の話をよく聞く力がついたということ。話している言葉だけを聞くのではなく、本心では何を求めているのかを見極める力ですね。
それから経理をして身に着いたことは……それまで僕は経理を軽視していました(笑)。営業をしているときは、お金を稼いで来る人、つまり営業が一番エライと思っていましたが、そんなことはなくて、会社というのは実はいろいろな人の力が合わさって成り立っているのだということが分かりましたね。

 

ちなみに、就活に役立つ営業スキルってあるんですか?

「質問する力」ですかね。例えばある企業がすごいものを持っていたとして、「すごいですね」だけではなく、「なぜすごいのか」「どうすごいのか」「これからそれをどうしていくのか」と、質問を広げていく力。
それって何かって言うと、やっぱり「興味」がないとダメで。
だって、学生はいっぱい(企業を)受けているわけでしょう?だから興味、関心が薄くなってしまうんだけれど、「この学生、ウチに関心を持ってくれているな」と思えば、相手も関心を持ってくれる。

 

やっぱり会社選びで迷う事が多いので、高田さんに質問してみたいのですが・・・・・・質問最初の会社に入社する前に、過酷な環境だと知らなかったですか?

知らなかった。けれど今振り返れば、劣悪ではあったけれど他(の選択)と比べて著しく苦しかったかと言われると、そんなことはないように思います。どんな会社に入っても勉強は必要だし、仕事外の時間を使って学びを得ようとすることもある。だとしたら、そんなに違いは無かったかもしれませんね。

 

会社を選ぶときに、どういうところに気を付ければ劣悪な会社に入社しなくて済むんでしょうか?

できるだけ多くの会社と接して、もちろん「見極める」までは無理だとは思いますが、とにかく見ることでしょうね。
私は今の仕事では何千社もの会社の社長さんと会っていますが、その話を聞いていると「ああ、この会社は伸びる」「今は伸びているかもしれないけれど、怪しいな」と思うことがあります。だいたい予想通りになるケースが多いですね。

 

その「見極めるポイント」は、説明できるものでしょうか?

うーん、なかなか難しいですが、分析すればそれは先程言った「信頼できる人の条件」に当てはまっていないということなのかもしれません。あとは、雰囲気ですね。具体的には、物が散らかっているとか。でもそういうのって、多くの会社を見ることで比較できるようになる。あの会社は良かったとか、ここは以前見た会社よりは良くなかったとか。
もちろんそれはひとつの基準でしかないわけで、実際に入ってどんな環境かは分からないけれど、少なくとも「信頼できる人」ばかりの会社であれば、皆さんに対して悪いようにはしないはずです。環境的に悪いと感じたとしても、「環境が悪くて困っています」と言えば「じゃあ、どう変えようか」と考えてくれると思います。

 

本日はありがとうございました。就職活動をしている学生たちに向けて、最後にメッセージがありましたらお願いします。

就職活動をしていると、迷うことが多いと思います。
しかし、自分の考えをもって表裏なくやることが良い結果に繋がると思います。
相手もよく見ているから、怠けていると見抜かれる。
だから、ただ全力で、自分の思う事を話していけばいいんじゃないかなと思います。
それから、情報を扱う会社という観点からお話しすると、今はいろんな情報が飛び交っているけれど、情報に踊らされないこと。
正しいことを、自分の目と耳で見極めることが大事です。
だからこそ、たくさんの会社を見ることが大切だと思います。頑張ってくださいね。